どの時代のものであろうか、詳しくは知らないがシュナイダーというメーカーが作ったレンズである。大判カメラのために設計されているので一般の方で知っている方はそう多くはあるまい。
現在もメーカーは作り続けているが、値段があまりに高くてとても手は出せない。行きつけのカメラ屋で、このレンズは今使っている日本製より「よい」と熱心に言うものだから、別にわたしは国粋主義では全くないが、ちょっとムッとしてしまった。そもそも4インチ×5インチのフィルムを使うカメラのこととて、レンズが描く微妙な違いが、好き好きは分かれるところであろうが、「よい」か「わるい」というそのものの価値判断に及ぶはずはないのである、とまあ信じている。
そこでである。自分の使っているレンズとアポジンマーを、撮り比べさせていただいた。まあ、焦点距離が異なっているので、多少の雰囲気の違いはあるが、「写り」に関しては並べてみれば分かるというもの。幸い、フジフィルムのフォトラマのアダプター(いわゆるポラロイドの日本版)を持っているので、すぐに結果を比べられる。
この二枚の写真を見てその差を見分けられる方がどのぐらい居られるだろうか。どちらがどうだということを申し上げることは差し控えるが、露出は全く同じで2分の1秒で、絞りは8である。左がフジの150ミリ、右がアポジンマーの180ミリ、焦点距離が異なっているので多少写りかたに違いはあるが。値段は中古市場でも3倍高いのがアポジンマーである。
この写真を見せて、来たお客さんに感想を伺ったところ、「互角」との意見が全部であった。無論、アポが特段雰囲気のよい画像を提供してくれるんだったら、即買いということにもなったであろうが、これでは高いお金を払う価値は全くないと思ってしまった。あっ、どちらがどうとゆっているのと同じではないか、はは。
まあ、こんな比較をして楽しむのも、豊富な種類を持つ大判カメラのレンズの楽しみ方でもある。各国、写真が発明されたときからのレンズを全て共通で使用できるのはこの手のカメラのみであろう。ややこしい変換アダプターや、ほかのを付けることで露出計が使えなくなりマッセなんていうけちな事は存在しない世界である。
話は横道にそれるが、中古品を購入するときは、そのものの来歴も一緒に購入するのだと思っている。骨董品としての価値は、よほどの珍品でもない限りはないが、それでも「骨の薫り」であると思う。前にどなたが利用されていたかは別にして、そのレンズなりカメラは、時の光をあるいは何十年にもわたって見つめてきたものである。・・・戦争も見ているかもしれない。
ただ、そのものの歴史が持つ something else を同時に、写真という無限の時間を封じ込めた表現媒体として形を変えて残して行ける、というのも、ウーンッ、ロマンティックな話に思えてくる。
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